肘・手首・指の症状

肘・手首・指の症状

内側上顆炎(野球肘)

内側上顆炎(野球肘)とは、繰り返される投球動作などで肘に負担がかかり発生するもので、野球選手に多いことからこの名が付きました。 子供から大人まで幅広い年齢に発生し、同じ野球肘と呼んでも損傷の種類はいくつも存在します。

主な症状

始めは投球動作時に胸を張ってからボールを離すまでの間(コッキング期~フォロースルー期)にかけて痛みがあることが多く、進行すると慢性的な痛みにつながることや、投球自体が不能になるケースもあります。 進行すると日常生活での肘の曲げ伸ばし動作でも痛みが発生し、関節運動の制限が起こることもあります。

原因は?

ボールを投げる時は、肩だけでなく肘にも大きな負担がかかります。 その為、無理に速い球を投げたり、手だけで投げてしまったり、肘が下がった悪いフォームで投げてしまうと、1回1回の肘にかかる負担が更に増え炎症を起こしやすい状態になってしまいます。

症状を改善するためには投球数の管理、適切なフォームへの改善などを行う必要があります。 そのうえでアイシングや電気療法により肘関節周辺の炎症を取ることや、筋肉の柔軟性を出したり、関節調整を行うことで症状を改善することができます。

外側上顆炎(テニス肘)

手首に負担がかかる動作を繰り返し行うことで、肘の外側から手首にかけて痛みが出る症状のことでテニス選手に多く発生するため、通称「テニス肘」とも呼ばれています。 しかし、実際にはテニスやスポーツ以外の動作でも起こりうる症状で、大工や料理人、運送業など腕を酷使する職業の方に多く、年齢層は30~50代以降に多く発症します。

主な症状

手首をひねる、反る、指を伸ばすなどの動作を行ったときに痛みを生じます。 安静時にはあまり痛みが出ないことが多く、日常的にはタオルを絞る、物を掴んで持ち上げる、パソコンのタイピング作業、ドアノブを回すときなどに痛みを生じます。

原因は?

日常生活やスポーツなどで腕を沢山使うことで筋肉の付着部である外側上顆に過度な負荷がかかり、 炎症が起きることが原因と考えられています。 また加齢による腱の強度や筋力の低下が原因となったり、家事で腕をよく使う主婦の方など比較的筋力の弱い女性に多くみられるのも特徴です。

痛みの強い急性期には湿布、包帯固定により患部を安静に保ち、炎症を抑えるためのアイシングが重要になります。 痛みが改善したら手技療法、運動療法などで筋肉の柔軟性を出すことが効果的です。

円回内筋症候群

円回内筋症候群とは、肘を曲げたり前腕を内側に回したりするときに使う『円回内筋』という筋肉に通っている正中神経が圧迫されることにより、 痛みや痺れ、筋力低下などを引き起こす疾患のことをいいます。

主な症状

前腕部の鈍痛、筋力低下、つまみ動作がしにくくなるといった症状の他、知覚異常などがみられ母指、中指を曲げることや手の平を返す動作がつらくなるといった症状が出てきます。

原因は?

多くは仕事やスポーツ活動などによる肘の屈伸や前腕の回内などによる前腕の使いすぎが原因となります。仕事では長時間のパソコン作業など腕をよく使う人にみられ、スポーツ活動においてはテニス(フォアハンド)、野球、ボーリング(投球時)などで多くみられます。 また、主婦の方など比較的筋力の弱く腕を酷使する女性にも多くみられます。

痛みをそのままにしておくと日常生活にも障害が起こり、うまく前腕の筋肉が使えなくなってしまい指先の動きも悪くなってしまいます。 痛みや違和感がある急性期は、アイシングや電気療法で筋肉の炎症を抑え、安静にすることが重要になります。 また痛みが改善したら運動療法などで筋力強化することも痛みの改善、予防には必要になります。

TFCC(三角繊維軟骨)損傷

TFCCとは『三角繊維軟骨複合体』と言い、手首の関節の間にある靭帯や関節円板で構成されています。 手首の小指側の支持に関与し、クッションのような役割もしています。

主な症状

TFCCを損傷すると、手首を動かした際に手首の小指側に痛みを感じたり、引っ掛かり感が出たりします。 その他にも、手首を小指側に傾けると痛みが強くなることや、日常生活ではドアノブを回すときや鍵を開けるとき、 かばんなどの重たいものを持ち上げたときに痛みが出ます。 重症例では、手首を動かすと激痛が走り、手首の運動が困難になることもあります。

原因は?

・外傷型 転倒、転落、交通事故などにより、手首に強い衝撃が加わったり、手首を捻ったりしたときに生じます。 ・変性型 仕事やスポーツなどで長期にわたって手首を酷使する、または加齢による変性などにより生じます。 加齢による変性が原因で生じるものは無症状のこともあります。 最近では、パソコンやスマートフォンの使いすぎによって生じることが増えています。 スポーツでは、相撲や空手など手首に大きな負担がかかるスポーツや、テニスや剣道などラケットや竹刀を使うことで 繰り返し手首に負担がかかるスポーツに多くみられます。

TFCC損傷は慢性化すると痛みが取れにくく、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。 また、損傷が強く、症状が強い場合は手術になることもあります。 手遅れになる前に早期にアイシングや電気療法にて炎症を抑え、前腕部から手部にかけて筋肉の柔軟性をもたせるための手技療法やストレッチを行うことが有効です。

舟状骨骨折

舟状骨骨折とは、手の関節を構成する小さな骨である『舟状骨』と呼ばれる骨に骨折が生じた状態を指します。

主な症状

捻挫をしたときの様な痛みが続きます。 親指を反らしたときに、親指の付け根に出る2つの腱の間(スナッフボックス)を押すと痛みが出ます。 手首の親指側に痛みが出ますが、あまり痛みは強くはなく、腫れが少ないのが特徴です。 捻挫だと勘違いし放置していると骨折部分がうまく治らず、手関節の変形が進行し手首に痛みが生じ、 力の入れにくさや動かしづらさが見られます。

原因は?

日常生活などで手をついて転倒した際に見られます。 (手首を起こした状態で手の平を突いて転倒) どの年齢の方にもみられますが、特に運動の盛んな 10 代後半〜20 代の青年に多く見られる骨折です。

手関節の捻挫と舟状骨骨折は間違われることが多いため注意が必要です。 舟状骨骨折は治りにくい骨折の1つです。(舟状骨の血行が良くない為) 長期間のギプス固定を必要とします。(6 週〜12 週) 接骨院では、骨折の応急処置、医師の同意の上での治療が可能です。

ド・ケルバン病

ド・ケルバン病とは『 狭窄性腱鞘炎』とも呼ばれ、手首から親指の付け根の周辺に生じる炎症のことを指します。

主な症状

親指を広げたり、力を入れたりすると親指や付け根に痛みがでます。 何かを持った拍子などに手首に急激な痛みが生じたり、 親指を開きにくくなったり、親指の引っかかりを感じることもあります。

原因は?

妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く生じます。 閉経に伴うホルモンバランスの変化や、 育児や家事で手を酷使することなどが原因になります。 料理人・ゴルファー・美容師・ピアニスト・テニスプレーヤーや、 パソコンのキーボード操作が多い人、 スマートフォンを片手で操作をよくする人などに多い傾向があります。

一番大切な事は親指を動かさないことです。 手首の動きを制限するために湿布、包帯固定などにより患部を安静に保ちます。 炎症を抑えるためにアイシングや超音波などの電気療法も大事になってきます。

ばね指(弾発指)

ばね指とは、指を曲げる際に働く腱が肥厚し、その腱を覆う腱鞘との摩擦により炎症が起こることで痛みを感じる、または肥厚した腱が引っ掛かり指の動きが制限される状態のことをいいます。

主な症状

初めは指を動かす際の痛みや、違和感程度ですが、 進行すると指の付け根が熱を持ち、腫れて痛みが強くなります。 また、 指の曲げ伸ばしの際に腱が引っ掛かることで伸ばしにくくなり、 ばねが弾むように急に伸びてしまう『弾発現象』といった症状を生じます。  症状の強い場合は、自分で指を伸ばすことができず、 反対の手で力を加えて伸ばさなければならなくなる場合や、 人に伸ばしてもらわなければならない場合もあります。

原因は?

ばね指の原因は前述の通り‘‘腱と腱鞘の摩擦’’です。  指の曲げ伸ばしを繰り返し行うことで摩擦が起こり 左のような症状に繋がります。  中年女性に多く、第1指(親指)での発生が多く、 仕事で手指の同じ動きを繰り返す方や、 家事や育児で手をよく使う方などに多く発生します。

患部の安静を図るために固定をして、炎症を抑えるための電気療法 、日常生活での負担軽減を図るためのテーピング などの治療が効果的です。   初期の状態を放置しておくと症状は軽減するばかりか重症化することが多いため早めの治療が必要です。